夜勤免除の申請をしたのに「今は人手が足りないから」と断られた——そんな経験をした看護師さんは、想像以上に多くいます。育児や家族の介護で深夜の勤務が難しいのに、職場に認めてもらえないのはとても苦しいことです。
実は、夜勤免除は法律で認められた権利です。条件を満たしているにもかかわらず断られているなら、それは法律違反にあたる可能性があります。放射線技師として同じ医療現場で働いていると、育休明けに夜勤免除を申請したものの「みんな頑張っているから」と言われて一人で抱え込んでいる看護師さんに出会うことがあります。
この記事では、夜勤免除の法的根拠・申請できる条件・断られた場合の具体的な5つの対処法を、現場視点でわかりやすく整理します。一人で悩まず、まずは正しい知識を持ってほしいと思います。
- 夜勤免除の法的根拠と申請できる3つの条件
- 「人手不足」を理由に断られた場合の考え方
- 断られたときの5つの具体的な対処法
- 転職も含めた現実的な選択肢の見つけ方
看護師の夜勤免除は法律で認められた権利
「夜勤免除をお願いしたい」という申し出は、個人的なわがままではありません。これは法律に基づく正当な権利の行使です。
根拠は「育児・介護休業法」
夜勤免除の根拠となるのは、「育児介護休業法」(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)第19条です。同条では、小学校就学前の子を養育する労働者、または要介護状態の家族を介護する労働者が申し出た場合、事業主は深夜業(午後10時〜午前5時)に就かせてはならないと定めています。つまり、条件を満たして申請すれば、職場は原則として断ることができません。
医療現場で看護師の人手不足が深刻なのは事実です。しかし、人手不足は会社(病院)の責任であって、個々の看護師が法的権利を諦める理由にはならないのです。
免除される「深夜帯」と免除期間
夜勤免除の対象となる深夜帯は午後10時から午前5時まで。この時間帯の勤務を「しない」ことを申請できます。病院勤務でよくある「夜勤(22:00〜翌7:00)」「深夜勤(0:00〜8:00)」などのシフトが対象となります。
免除期間は1回の申請につき1か月以上6か月以内で、繰り返し申請することが可能です。なお、申請は勤務開始の1か月前までに行うことが目安とされています。
夜勤免除を申請できる3つの条件
夜勤免除が認められるには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。自分の状況と照らし合わせて確認してみましょう。
申請条件を整理する
- ① 小学校就学前の子の養育、または要介護状態の家族の介護を行っている
- ② その事業主に引き続き雇用された期間が1年以上ある
- ③ 深夜において子を保育(または家族を介護)できる同居の家族がいない
③の「同居の家族」については、その家族が深夜に常態として子を保育・介護できる状況にある場合に限られます。たとえば、夫が夜勤勤務で不在がちな場合は「保育できる家族がいる」とはみなされません。
申請できないケースも確認する
- 勤続年数が1年未満の場合
- 深夜に保育・介護が可能な同居家族がいる場合
- 子が小学校入学後(6歳を超えている)の場合
- 労使協定で適用除外とされている場合(一部)
条件に当てはまるかどうかわからない場合は、職場の人事担当者に相談するか、後述の「都道府県労働局」に問い合わせることで確認できます。

夜勤免除が断られたときに知っておくべきこと
条件を満たしているのに断られた場合、その断り方が「人手不足だから」「みんな頑張っているから」といった理由であれば、それは法律違反にあたる可能性が高いです。看護師さんから相談を受けるとき、よく耳にするのが「断られても仕方ない」という諦めの声です。しかし諦める必要は全くありません。
「人手不足」は断る正当な理由にならない
事業主(病院)が夜勤免除申請を断れる合理的な理由として法律が認めているのは、業務の性質上、代替要員の確保が著しく困難な場合などに限られています(厚生労働省の指針より)。単なる「人手不足」はここに含まれないと解釈されるのが一般的です。
特に大規模病院や複数の病棟がある施設では、シフト調整の余地があるはずだとみなされることが多く、「うちは人手不足だから無理」という理由は通りにくいのが実情です。
断られたことを記録しておく
申請が却下された場合は、その日時・相手の発言・理由をメモしておくことを強くおすすめします。できればメールや書面での記録を残しておくと、後で労働局に相談する際に有力な証拠になります。私自身も転職経験のなかで感じたのですが、記録を残しておくことが交渉で最も力を発揮します。

断られたときの5つの対処法
夜勤免除が断られてしまった場合、どのように動けばいいのかをステップ別に整理しました。焦らずひとつひとつ確認していきましょう。
まずは3つの条件(養育・勤続1年以上・深夜対応できる同居家族なし)を満たしているかを確認します。条件を満たしていることを確認したうえで、次のステップに進みましょう。
口頭で断られた場合でも、書面(メールや申請用紙)で正式に再申請することが重要です。申請書に「育児介護休業法第19条に基づき申請します」と明記することで、職場側も法的根拠を意識せざるを得なくなります。
直属の上司だけでなく、看護部長や人事担当者に直接相談する方法もあります。「法的権利として申請している」という姿勢を明確にしながら、冷静に話し合うことが大切です。多くの場合、上の立場の方が問題の本質を理解してくれるケースがあります。
職場内の交渉でうまくいかない場合は、各都道府県に設置されている「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」に相談しましょう。ここでは相談・援助・指導・調停・あっせんが行われており、無料で利用できます。「違法かどうかわからない」という段階でも相談に応じてもらえます。
職場への働きかけを尽くしても改善しない場合は、思い切って職場を変えることも一つの現実的な選択です。クリニック・訪問看護・デイサービスなど、夜勤のない職場は数多く存在します。転職エージェントに「夜勤なし」の条件を伝えれば、希望に合った求人を紹介してもらえます。

まとめ:夜勤免除は諦めなくていい、あなたには権利がある
夜勤免除は、育児や介護を抱える看護師さんが法律によって守られた権利です。「人手不足だから仕方ない」「申し訳ないから言い出せない」という気持ちは痛いほどわかりますが、権利を行使することは悪いことではありません。
まずは自分が申請条件を満たしているかを確認し、書面での申請・職場内での交渉・労働局への相談という順で動いてみてください。それでも解決しない場合は、夜勤のない職場への転職という選択肢も現実的に存在します。あなたの体と生活を守ることが、長く看護師を続けるためにも一番大切なことです。
「夜勤なし」「日勤のみ」の条件で求人を探せる転職サービスを活用すると、希望に合った職場が見つかりやすくなります。まずは無料相談だけでも試してみてください。

よくある質問
- 育休明けでも夜勤免除の申請はできますか?
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はい、申請できます。育休から復帰した後も、小学校就学前の子を養育していて勤続1年以上であれば、夜勤免除を申請する権利があります。育休復帰直後でも申請可能ですが、勤続1年未満の場合は対象外となるため、入職時期を確認してください。
- 夜勤免除の申請はいつまでにすればいいですか?
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厚生労働省の指針では、免除を開始したい日の1か月前までに申請することが目安とされています。申請書類の書式は職場によって異なるため、人事担当者や看護師長に確認しておくとスムーズです。
- 夜勤免除を申請すると給与はどうなりますか?
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夜勤免除期間中は夜勤手当が発生しないため、夜勤が多かった場合と比較すると月収は下がることがあります。ただし、基本給は変わりません。事前に夜勤手当が月収に占める割合を確認し、家計への影響を把握しておくと安心です。
- 夜勤なしで転職できる職場はどこがありますか?
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クリニック(内科・小児科・皮膚科など)、訪問看護、デイサービス・通所介護、保育園や企業内の産業看護師、健診センターなどは基本的に夜勤がありません。病院での経験を活かしながら、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。転職エージェントに「夜勤なし」の条件を伝えると、希望に合った求人を紹介してもらえます。
【参考・出典】
・厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355354.pdf
・公益社団法人日本看護協会「夜勤負担」https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/madoguchi/backnumber/yakinfutan.html





